Z世代が注目するオルタナ・ポップ・アーティスト、binkiの挑戦【Virgin Music Japan Picks】

執筆:カジ(Virgin Music Japan Staff)


インディ音楽シーンで注目され始めたばかりの、新世代の洋楽アーティストをフィーチャーする企画「Virgin Music Japan Picks」。第3弾となる今回は、アメリカ、ペンシルベニアから登場したインディーポップアーティストbinki(ビンキ)。圧倒的なポップセンスとハイブリッドなアプローチが光るネクスト・ブレイク必至なアーティストだ。

Baraka Ongeriによるプロジェクト、binkiは現在23歳。両親がケニア移民の家庭で生まれ育つ移民2世。「binki」とはBarakaが幼い頃につけられたあだ名で、現在でも活動名として使っている。俳優を目指して大学で勉強する中、音楽プロデューサーのChasen Smithと出会い、音楽活動に本腰を入れる。共同でリリースしたデビューシングル「Marco」は「ポスト・ミレニアル世代のスロージャム」と評価された。

2018年以降、ヒップホップとインディー・ポップ、R&B、インディーロックを融合したジャンルレスな「Wiggle」「Sea Sick」「Heybb!」をコンスタントにリリースし続け、徐々に同世代アーティストやプロデューサーたちの注目を集めてきたbinki。とりわけ「Heybb!」は、Charli XCXやJojiのプロデューサーとして知られるJustin Raisenや、Apple MusicのDJ、Zane Loweなどの目に留まると人気に火が付いた。2020年にはApple iPad AirのCM曲に起用され、これまでにCOACHやUrban Outfittersといったブランドがタイアップ楽曲として起用してきた。


2021年には、Clairo、Zachary Knowles、James IvyなどZ世代、ミレニアル世代から高く支持されるアーティストが所属するニューヨークのインディーズレーベル、FADERと契約。8月にデビューEP『Motor Function』をリリース。Spotifyの「New Music Friday」「POLLEN」「Lorem」、Apple Musicの「Glow」「New in Indie」など人気プレイリストからサポートを受けている。さらに、カルチャーメディア大手のDAZEDが公開した次世代ポップアーティストの特集で取り上げられるなど、彼の注目度は確かなものになり始めた。


彼の楽曲からはヒップホップのエッセンスが中心だが、80sアシッド・ハウス、00sニューレイヴ、ポップパンクのヴィンテージな流れもつかみ取ることができる。先日、FaderからリリースされたデビューEP『MOTOR FUNCTION』はその一面が顕著に表れた作品となった。近年様々な年代、ジャンル、アーティストが「リバイバル」として注目され、特に2021年はプライマル・スクリームの名盤『Screamadelica』がリリースから30周年という節目を迎える中で、ハウスやダンスミュージックを別のジャンルと融合した音楽がしばし引き合いに出されている。ニュージーランドのシンガーソングライターのロードもプライマル・スクリームのインフルエンスを感じさせるアルバム『Solar Power』をリリースしたばかりだ。Binkiは、2000年代前半にかけてムーブメントを築いたポップパンクの流れを楽曲に組み込んでいるのが特徴的だ。躊躇なく異色性を掛け合わせ、誰も想像できなかった類型をやぶるサウンドスケープを展開する。「ハイブリッド・インディーミュージック」を推進する若手アーティストの一人であり、まさにbinkiは「Z世代のホープ」と呼べるのではないだろうか。エッジーで前衛的なサウンドはFlood MagazineDORKNMEなど大手メディアでも高く評価されてきた。

前衛性と言えば、binkiは幼少期からカニエ・ウェストを聴いて育ってきたことも大きな要因で、彼のインフルエンスは随所で楽曲から感じ取ることができる。特に「Yeezus」期のアグレッシブでエクスペリメンタルなアプローチにbinkiの曲がシンクロする場面は度々ある。骨太な打ち込みのビート。振動が直で伝わるベースライン。スペイシーなシンセサイザー。全てが重なり合ったときに作り出される音空間に終始圧倒される。

デビューEPリリース後、Spotifyの月間リスナー数が100万人を超え、さらに勢いが増してきたbinki。磨き抜かれた鋭利な感性と他のアーティストと一線を画す独自の世界観が毎日誰かを魅了し続ける。


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バイオグラフィー

binki
ブルックリンから世界に向けてインディーロック、ヒップホップ、ファンク、R&Bを融合した独自のサウンドと世界観を具現化する新世代アーティスト。ケニア移民の両親の元アメリカ・ペンシルベニアで育った。俳優を志していた大学時代にリリースしたシングル「Marco」は、ミレニアル世代やZ世代に共振し一躍注目を集める。その後「Wiggle」「Sea Sick」「Heybb!」とシングルを立て続けにリリースし、Still Woozyの前座を務めてきたbinkiは、着実にSpotifyやApple Musicのオーディエンスの支持を掴んでいった。Tyler The Creator、Childish Gambino、デヴィッド・ボウイ、ルー・リードなど、世代を象徴するアーティストから影響を受け、ジャンルやカテゴリーを再定義する作品は、Apple MusicのZane Loweをはじめ多くのテイストメイカーの目に留まり、注目する世界の若手アーティストの一人として知名度が広がり、数々のプレイリストからもサポートを受けている。2021年にインディーレーベルFADERと契約。8月にデビューEP『Motor Function』をリリース。

作品情報


EP:『MOTOR FUNCTION』
発売日:2021年8月13日(木)
レーベル: Fader Label



◆トラックリスト
1. Clay Pigeon
2. Landline
3. Revolve
4. Invisible Fence

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